MRJ、ANA塗装でパリ航空ショー出展へ 3号機塗り替え

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三菱航空機は、6月に開かれるパリ航空ショーへ、全日本空輸(ANA/NH)の塗装を施したMRJの試験機を出展する方針を固めたことが、Aviation Wireの取材でわかった。

—記事の概要—
3号機もANA塗装、5号機飛ばず
代替機発注するANA、二段階導入のJAL

3号機もANA塗装、5号機飛ばず

モーゼスレイクのグラントカウンティ空港へ着陸するMRJの飛行試験3号機。パリ航空ショーにはANA塗装での出展を計画している(三菱航空機提供)

MRJは2008年3月27日、ANAがローンチカスタマーとして25機(確定15機、オプション10機)を三菱重工業(7011)に発注し、事業化が決定。開発に手間取り、当初2013年だった納期は5度目の延期により、2020年半ばを計画している。

MRJはANAのほか、32機を確定発注した日本航空(JAL/JL、9201)など、7社から計427機を受注。内訳は、確定受注が約半数の233機で、残りはキャンセル可能なオプション契約が170機、購入権契約が24機となっている。

MRJの飛行試験機は現在5機あり、初号機(登録番号JA21MJ)から4号機(JA24MJ)までを米国の開発拠点である米国モーゼスレイクのグラントカウンティ国際空港へフェリー(空輸)した。

MRJの客室モックアップ=16年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

最後にモーゼスレイク入りしたのは3号機(JA23MJ)で、現地時間3月31日に到着した。経由地のホノルル国際空港を離陸した際、油圧の細い配管が破断したため、ホノルルへ戻って改修作業を実施。約2週間遅れの到着となった。

開発が遅れるMRJは、2016年11月から三菱航空機の親会社である三菱重工の宮永俊一社長直轄の開発体制に移行。量産初号機納入の半年前にあたる2020年初頭までに、国が機体の安全性を証明する「型式証明」を取得するため、外国人エンジニアからの指摘により一部装備品の配置変更や、これに伴う電気配線の変更が決定。5機ある飛行試験機による試験スケジュールや役割分担、量産体制の見直しを進めている。

6月19日からパリ郊外のル・ブルジェ空港で開かれるパリ航空ショーには、3号機を持ち込む計画。ローンチカスタマーであるANAの塗装に米国で塗り直し、客室の内装を変更して航空会社やリース会社など、関係者向けに公開する。三菱航空機は例年、客室を模したモックアップを会場に展示し、売り込みを図ってきた。パリ航空ショーは世界最大級の航空ショーで、世界各国から航空関係者や政府要人が集まる。

ANA塗装が施されたMRJの飛行試験5号機。地上で機器配置の変更などに使われる(三菱航空機提供)

一方、ANA塗装が施され、国内での飛行試験に投入する予定だった5号機(JA25MJ)は、飛行しない見通し。設計変更が進んでいることから、機器配置の見直しなどに使う。

米国での飛行試験の進捗が思わしくない場合は、3号機をパリへ持ち込むことを見合わせるが、納入遅延により悪化したイメージを回復するため、実機によるアピールを実現したい考えだ。

MRJ最大のライバルである、ブラジルのエンブラエルが開発中の「E2」シリーズは、最初の機体となるE190-E2が、2016年2月25日にロールアウト。予定を前倒しして、3カ月後の同年5月23日に初飛行に成功し、7月11日からロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショーに飛行試験初号機(登録番号PR-ZEY)を持ち込んでいる。

代替機発注するANA、二段階導入のJAL

MRJの代替機として737-800(手前)をリース導入するANA=16年9月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAグループでは、MRJは地方路線を担うANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のANAウイングス(AKX/EH)が運航する計画。ボーイング737-500型機(1クラス126席)やカナダのボンバルディアが製造するターボプロップ(プロペラ)機のDHC-8-Q400型機(1クラス74席)を、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」へ置き換える計画だ。

MRJの納入遅延を受け、ANAHDは2016年6月にQ400を代替機として3機発注済み。また、1995年3月から導入を始めた737-500の経年化が進んでいることから、737-800(2クラス167席)も代替機として2018年度から4機をリース導入する(関連記事)。

一方、ANAより17機多い32機のMRJをすべて確定発注したJALは、2021年の受領開始を予定。傘下で地方路線を担当するジェイエア(JAR/XM)が運航を予定している。

ジェイエアが現在ボンバルディアCRJ200型機(1クラス50席)で運航している路線をエンブラエル170(E170)型機(1クラス76席)に、E170の路線をエンブラエル190(E190)型機(2クラス95席)へと大型化、エンブラエル機への統一を進めていく中で、MRJは7年程度かけて投入する、二段階導入を進めている。

記事出典:Aviation Wire

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